
アメリカ企業の自社株買いが減少しているがそのメリットと今後の市場の動向は?
株価が絶好調の米企業の自社株買いが数年ぶりの水準に
落ち込んでいます。これだけ株価が好調にもかかわらず
こうした変化は、企業が資金を投資に振り向け、変革を
もたらすM&Aなどを模索することに前向きになっている
兆しだという見方もあります。
自社株買いのメリットとは
自社株買いにより、企業は投資妙味を高められます。
発行済み株式数を減らすことで、収益性の目安となる
1株利益を押し上げることができるからです。
自社株買いはその会社自体が儲けるということじゃなく、
買った株式は消却し、発行済株式を減らし、その分残った
株の単位当たり資産を増やし、結果的に株価を上昇させる
行為です。会社側から言えば株数が減り、配当負担が減ります。
これは利益を出している会社が株価を上げるためによく行う手です。
金融危機後の数年にわたり、借り入れコストの低下や景気回復の
鈍さを背景に、自社株買いは企業の財務担当者にとって、魅力的な
選択肢でした。アメリカの株価指数であるS&P500種指数採用企業は
2014〜16年にかけて約190兆円規模の自社株買いを行いました。
自社株買いのデメリットは
自社株買いのデメリットは現金が減ることです。また消却した場合、
消却額の資産および同額の自己資本が減少し、バランスシートを
圧縮することになります。すねわちその会社が下降線をたどっている
ときは、資産を減らすことになり、会社の評価も下げてしまう
ことになります。
今後の市場の動向は?
アメリカでは、自社株買いが減速しているにもかかわらず
株価を下押ししている兆候もほとんど見られていません。
主要株式指数は今年に入り、たびたび最高値を更新しています。
S&P500は年初来、16%値上がりしています。
アメリカでの今後減税と規制緩和により、企業にとって
さらにキャッシュリッチになる可能性があります。
そうした環境下のなか、引き続き自社株買いのニーズも
強いですし、そしてそのほかの投資、たとえば設備投資や
企業買収に資金が使われる可能性が高いです。
いずれにしても、市場にとってはポジティブな状況であり、
自社株買いの減少が市場が不安定要因になることは
考えにくです。