アメリカは「フィリバスター」でトランプの禁じ手「核オプション」を阻止できるのか?
アメリカの政府機関が閉鎖に追い込まれました。
ずっと引き伸ばされていた予算案に対して
今回は、民主党が移民の子供達への法的サポート
を与えるいわゆるDACAの問題でトランプ大統領が
妥協点が見出せなかったためです。
そこでトランプ大統領は、ここでも米議会の
核オプションをつかって、米政府機関閉鎖回避
にむけて禁じ手を打つよう、共和党上院に指示
したのです。
そこで、今回はアメリカ議会にあるフィルバスター
ルールについて解説したいと思います。
アメリカ議会のフィルバスターとはなに?
日本では、与野党の対立の中で、野党による防御策は
ほとんどなく、牛歩戦術といわれるものしかありません。
こうした議事進行を妨げる行為は米国でも行われており、
とりわけ、米国上院では、フィリバスターと呼ばれる
議事妨害が200年以上もの間、繰り返し行われています。
フィリバスターとは、上院規則19条で、「いかなる上院議員も、
他の議員の討論を、その議員の同意無しには中断させることが
できない」と定められ、原則的に議員の発言時間が無制限と
なっていることを利用し、長時間にわたり討論を続けることで
議事進行を意図的に遅延させる行為です。
上院の法案審議は議会期を越えて行うことが出来ないため、
フィリバスターを活用し、議会期終了まで審議を引き延ばせば、
法案を廃案に追い込むことが可能となってきます。
もっとも、フィリバスターが際限なく認められれば、上院、
ひいては連邦議会が機能不全に陥る恐れがあることから、
現在は全議員の5分の3以上(60議席以上)の賛成を得て、
「クローチャー」と呼ばれる決議を行えば、議員の
発言時間に制限が設けられ、討論を終了させて議決に
持ち込むことができのです。
このため、上院選挙時においては、議事進行を優位円滑
に進められるよう、議席の過半数はもとより、クローチャー決議
に必要な60議席の確保も重要な意味を持つことになるのです。。
現在の共和党上院は60議席遠く及ばない
要するに、共和党が、このフィリバスターをくぐり抜けて
予算案を通すためには60議席ひつようとなりますが
現議席は51議席で遠く及びません。
そこでトランプ大統領は、禁じ手を使って、このフィリバスター
をなくしてしまおうとしているのです。
核オプションを使って通そうとするトランプ氏
そこでトランプ大統領が共和党上院に対して、核オプション
でフィリバスタールール自体を廃案にしろ、指示してきているのです。
これはアメリカ議会自体をぶっ壊す指示と言ってもいいくらい
で、核オプションすなわち、たとえ一票でも上回れば、アメリカ議会
の上院の昔からのルールである60議席ルールをなくしてしまう
ことが可能となるのです。
移民問題も妥協するつもりもないトランプ氏
今回の米政府機関閉鎖の交渉について、民主党は
移民問題と妥協で解決を図ろうとしていますが
トランプは、今のところいっさい妥協するつもりは
ないようです。移民の子供たちの法的根拠が
3月5日に切れてしまうため、このままだと、アメリカで
暮らしている子供達も強制送還されてしまいます。
この問題があるがために、民主党も妥協するはずも
なく、トランプは、この移民法の問題DACAをも
禁じ手である核オプションをつかって、議会のしくみ
を変えようとしています。