アメリカのTIPSとBEIの水準から推測する今後のドルの展開~ユーロドルはショート維持
為替の見通しを考える場合に、それぞれの通貨の金利
の動向は見逃せません。
そこでその見通しをみる上で一つの尺度となる
インフレリスクをヘッジする物価連動国債(TIPS)は、
市場でのインフレ期待が高まっため、年初来で7.1%の収益
をあげています。
アメリカはインフレ期待が高まっている?
TIPSは、現在のところ固定利付債指数の収益率4.3%をアウトパフォーム
しています。
20日に行われた30年物TIPS(発行額50億ドル)入札では、インフレヘッジ
目的の需要が集まっています。海外投資家からの需要を反映する間接入札が
増加し、応札倍率を押し上げています。
TIPSの価格はインフレ期待で上下します。年頭には投資家がデフレを警戒し
始めていたためインフレ期待が急低下していました。インフレ期待は原油や
資源の価格動向にも左右されます。
同時に、ここ数年はインフレ上昇率が鈍化しており、TIPSのパフォーマンス
は何度も投資家の期待を裏切ってきました。FRBが指標としているインフレ指数は、
FRBの目標に過去4年以上届いていない状況です。
しかしながら、インフレ期待が回復する兆しがある。いわゆるブレークイーブン・インフレ率
BEIは、市場が推測する期待インフレ率を示す指標で、名目債とTIPSの流通利回りの差で
示されます。トレードウェブによると、BEIは今後10年間のインフレ期待が
年1.69%上昇することを示しており、6月末の1.38%を上回っています。
先日発表された9月の消費者物価指数が前月比で0.3%上昇し、前年同月比では
9月のCPIの総合指数は1.5%上昇となり、TIPS価格上昇の支援材料となりました。
平均時給でみる賃金は、ここ数カ月間着実に伸びています。
先日のドラギ総裁の発言でユーロドルの方向性明確に
そこで大事になってくるのが、ユーロとドルの金利の方向性です。
米国経済についてはいろいろ意見が分かれるところもありますが
こうして着実にインフレ期待を示すマーケットが結果を示してくると
やはり米国の利上げと金利上昇の期待も高まってきます。
一方でドラギ総裁は昨日明確にユーロの量的緩和縮小観測を否定
しました。それどころか12月に追加緩和すら示唆しています。
これらのファンダメンタルズと以下に示すチャートが示すテクニカルを
しめすとユーロドルは1.05を目指すと予想しています。
チャート↓
これは中長期のユーロドルのチャートですが、切りあがったサポート
が崩れてきているのがよくわかります。次のターゲット安値1.05
を目指していると思っております。