
ここ最近のユーロ圏経済は思いのほか良好
欧州連合(EU)の統計機関ユーロスタットが14日発表したユーロ圏4-6月期GDPは、
1-3月期の縮小から一転して前期比0.3%の増加となり、エコノミスト予想を上回っ
ています。さらに驚くべきことは、ドイツとポルトガルの域内2カ国については、
4-6月期の成長率がそれぞれG7とOECD加盟国で最高に達する可能性があります。
ドイツはユーロ圏の景気回復をけん引しており、4-6月期GDPは前期比0.7%増加し
、寒波の影響で経済活動が抑制された1-3月期から持ち直した。フランスの前期比0.5%増
という驚くべき成長は、消費や在庫主導であることを踏まえると今後失速する恐れがあります。
ポルトガルのGDPは前期比1.1%増と見事な伸びを見せ、2010年以降で初めてプラス成長を遂げ
ましたが、これを説明する上ではイースター休暇の時期や燃料輸出の急増など、特殊要因が
いくつかあります。そして、イタリアとスペイン、オランダはまだリセッション(景気後退)
から抜け出せていません。
しかしながら、ユーロ圏に関しては、大局的に見ることが重要で、ドイツの成長は内需の主導
によるもので、輸出は南部欧州諸国がより深刻な景気低迷を回避する上で寄与しています。
ギリシャ経済でさえ危機脱出は近いかもしれない。南部諸国は競争力という点で、北部との格差を
縮小し始めている。さらなる構造改革が求められているものの、大きな進展を遂げているようです。
調査会社マークイットが発表したユーロ圏7月の総合景況指数(PMI)が、業況の拡大と縮小の
境目を示す50をようやく上回るなど、7-9月期は幸先良くスタートを切っています。金融市場の
緊張は引き続き和らぎ、スペインとイタリアの債券利回りは再び低下しています。
高水準の失業率に加え、イタリアやスペインの政局、ドイツの総選挙、銀行の持続的な
レバレッジ解消、ギリシャの債務再編をめぐる不満の声など、ユーロ圏を憂慮すべき理由は
今後も数多く出てくる可能性が高いですが、現状予想以上の経済成長はこうした懸念を払しょく
しそうな勢いです。
ユーロ為替相場は夏枯れ気味のレンジ相場が続いていますが、このボックスを抜け出す方向
はとくに対円ではユーロ高のような気がしてきました。