ここにきて欧州系銀行のCoCo債の発行が復活により今後のマーケット動向は?
CoCo債といえば、今年の2月ドイツ銀行のデリバティブズの棄損から
懸念されていた債券の象徴のような存在だったのですが、ここにきて
欧州銀行のCoCo債の発行が息を吹き返しているようです。
欧州系銀行のCoCo債発行が息を吹き返す
英金融大手バークレイズは最近立て続けにCoCo債を発行しており、
24日にも追加発行しています。今年初めには、ドイツ銀行の一部債券の
利払いが滞るとの懸念が浮上したことを受け、CoCo債は急速に投資家の
人気を失っていましたが、利払いは行われていました。
英銀行大手ロイヤルバンク・オブ・スコットランドやスタンダート・チャータード
スイスの金融大手UBSグループがいずれも大型起債に動くなど、欧州銀のCoCo債の
新規発行市場はここ数週で上向いています。
相次ぐCoCo債の発行は、各国中央銀行が異例の緩和策を長期的に継続するとの見方を
背景とした債券市場の猛烈な上昇と時を同じくしています。銀行は規制上の資本目標
を達成する方法として痛みが少ないという理由から、CoCo債の発行を好んでいます。
国債利回りは大きく低下し、マイナス利回りで取引されている債券は13兆ドルを
上回っています。
こうした背景の下、投資家は新興国の債券からCoCo債のようにリスクの高い銀行債
に至るリターンの高い債券に殺到しているようです。
欧州銀は2012年以降にCoCo債を1000億ユーロ発行しています。
ドイツ銀行の危機は収まったのか?
今年初めには、ドイツ銀のクーポン払いを巡って懸念が高まり、CoCo債は売りを
浴びました。
それ以降、市場は全般的に持ち直しています。バークレイズによると、欧州銀のCoCo
債投資家は現在、今年のトータルリターンがプラス2.8%となっています。これに対し、
CoCo債を巡る懸念がピークに達した2月には年初来のリターンがマイナス11.7%でした。
昨年はプラス7.1%のリターンを記録しています。
CoCO債に対する規制緩和が影響?
欧州委員会は、銀行のクーポン払いが可能になる条件を緩和しました。
英中銀イングランド銀行も、国民投票で欧州連合(EU)離脱が決まったことを受け、
英銀の資本要件を緩和することによって寄与しました。各行はCoCo債のクーポン払い
を続ける余地が広がります。
バークレイズが24日発行した「その他ティア1」債券15億ドルには、150億ドルを
超える応募がありました。通知によればクーポンは7.875%です。
スタンチャートの広報担当者は、今月発行した20億ドル規模のCoCo債に200億ドル以上
の応募があったことを明らかにています。
発行体の自己資本比率が定められた水準を下回った場合に株式転換されるCoCo債の
仕組みの懸念があるにも関わらずこの活況ぶりは、当面の欧州系銀行の回避を意味する
ものなのか注目していきたいです。
当面のリスクオンの流れは継続
市場は株式市場などのリスクアセットに対する高値警戒感が強いものの
堅調さを維持しています。
逆をいえば加熱感があまりないことを考えると今後もリスク・オンの
動きがこのCoCo債の復活からも続くことが考えられます。
ドル円も膠着状態が続いていますが、リスク・オンの流れから
ドルが反転する展開を予想します。