「ピケティ理論」とは?富裕税との関連性と現代貨幣理論(MMT)に及ぼす影響について!
ここ最近、2013年に発行されたピケディ氏の「21世紀の資本」という
本が再度注目されています。
なぜピケティ氏の理論が注目されるのか?これは、来年の米大統領選挙に
向けて、民主党内で湧き上がっている「富裕税」との関係も
深いようです。そこで今回は「ピケディ現象」と富裕税そして
その背景にある現代貨幣理論(MMT)との関連性について
調べてみました。
ピケティ理論とはなに?
ピケティの『21世紀の資本』(原著2013年)は、
学術本としては異例なほど売れました。こうした「ピケティ現象」の背後には、
格差問題がありました。その時も大きな話題となりこの分厚い理論は
爆発的に売れましたが、また来年春に出版される予定です。
同氏の最新著『Capital and Ideology』の英語版が来年春に出版される
予定ですが、再び話題を集める可能性があります。
富裕税との関連性は
このピケディ氏の理論の背景には、進行する格差問題があります。
そしてこの問題はもはや放置できない、という一般知識人の危機感が
存在しているようです。民主党の大統領候補ウォーレン氏の案は、
5000万ドルを超える純資産に2%、10億ドルを超える純資産に
6%の税を毎年課すと公約していいます。そしてサンダース氏の案では、
3200万ドルを超える純資産から徐々に税率が上がり、100億ドルを
超えれば8%になります。両者とも10年で数兆ドル規模の財源になると
見積もっています。
現代貨幣理論との関係は
現代貨幣理論とは、現在の各国の財政支出の拡大と金融緩和
を象徴しています。この理論は低インフレが続いている限り
においては、財政支出と金融緩和が必要だという、オーソドックス
な現代において浸透している理論です。日本はまさにその理論
のその真っ只中にあり、どっぷりと浸かりすぎて逆に出口が
見えない状況になっています。要するに通常時とはなにか、
という問題に将来的にはぶち当たる可能性が高いのです。
現代貨幣理論(MMT)の閉塞感の要因は
その背景には格差問題があります。格差の大きさと
富をもたらす仕組みの不公平性と若年層の閉塞感、そして経済成長への悪影響
といったスパイラルに陥っているようです。富や所得を巡る格差の度合いが
深刻なレベルに達しており、ピケティ氏の理論ようにらが指摘しているように
米国では上位1%が所得の約2割、資産の約4割を占めるといった異常な
格差が起きています。
日本、ドイツ、フランスなどの上位1%の所得シェアは約1割であり、
米国の突出ぶりが目立っています。
そして、不公平な仕組みが富の集中を助長している、という認識が広まっており
上位400の富裕家計にかかる実効税率は、米国の家計全体よりも
5%低いとの試算もできています。また、グローバル企業の露骨な
節税行動は近年G20などでも大きな問題とされており、対応が進めら
れています。そして巨大プラットフォーム企業を巡っては、データの
行き過ぎた活用や競争排除的な企業買収が、超過利潤をもたらしている
との批判もおきています。そして現在の格差問題は、世代間格差へと
広がっています。米国でも金融危機以降は経済成長率が低下しており、
自分の将来所得が親世代を超えられないと考える若年層が増加して
います。低成長と教育費高騰というハンディを負う現在の若年層にとって、
富の極端な集中は格差の固定化を印象付け閉塞感をもたらしている
という問題を引き起こしています。
富裕税との関連性と影響は
民主党左派の主張がミレニアム世代に強く支持されつつあります。
その代表の政策のひとつが富裕税です。格差自体が低成長の一因と
いう認識も広まっており富裕層への貯蓄の偏りは総需要を低下させ
ているという理論があります。要するに、教育機会の不平等
へと広がっていると若年層たちは不満をもっているのです。
今イギリス総選挙が注目されていますが、不人気と言われていた
コービン労働党党首の考え方が、だんだんイギリスの若い世代に支持
されはじているのもこの背景だと思われます。
まとめ
富裕税については、市場的にはネガティブな要因であるとの
論調が強く、従来は経済の活力を削ぐという批判が強かった
のがいままでの論理です。しかし富裕税が他の税に比べて成長促進的である
可能性を指摘している論調も出てきています。富裕層のぜいたくな
消費や非効率な投資を、より生産性の高い投資に回せるという
論理が注目されているのです。